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自主憲法制定国民会議(新しい憲法をつくる国民会議)と宗教団体

最終更新日:2017/08/10

改憲団体「自主憲法制定国民会議(新しい憲法をつくる国民会議)」に関する情報を集めたページです。改憲団体の中では最も老舗であるにもかかわらず、公式ホームページ以外に実態を知ることのできるサイトがないので作成。保守系の政治団体といえば最近は日本会議の影に隠れがちだが、自民党改憲派を語るうえで欠かせないのがこの団体。

赤線を引いた箇所が自主憲法制定国民会議とその関連組織の動き。

※このページは随時追記

団体の概要

後述する宗教との関係について以外は分量が増えるので要点のみ箇条書き。

自主憲法制定国民会議

  • 昭和44年に設立された民間の改憲運動団体。略称は「自主憲」。
  • 自主憲法期成議員同盟」への支援や連携を目的として設立された。
  • 初代会長は岸信介。現会長は中曽根康弘。
  • 月に一度「自主憲法研究会(新しい憲法をつくる研究会)」を開き改憲案を作成している。
  • 毎年5月3日に「自主憲法制定国民大会(新しい憲法をつくる国民大会)」を開催。
  • 他に請願・署名活動、街宣活動、地方議会での決議を積み上げる運動を行う。
  • 調査研究を目的としたシンクタンクではなく改憲を目指す実践団体。
  • 70以上の民間団体によって構成されている。
  • 現行憲法無効・明治憲法復元ではなく、現行憲法を有効とした上での改憲を目標としている。
  • もうひとつの改憲団体大手「日本会議」とは別行動をしている。
  • 昭和54年からは岸より事務局長に任ぜられた清原淳平が実務を執り行っている。
  • 現在は「新しい憲法をつくる国民会議」と称している。

自主憲法期成議員同盟

  • 昭和30年に自由党、民主党、改進党、緑風会の改憲志向の会派や議員が合流して結成された。
  • 初代会長は緑風会の広瀬久忠、二代目は村上義一で三代目が岸信介。岸は昭和44年から亡くなる同62年まで会長職を全う。
  • 自由民主党の源流になった(自民党の政綱が改憲である所以)。
  • 自民党や内閣の憲法調査会を支援し協力した。
  • かつては会員数(国会議員)が380人程いた。
  • 自主憲法制定国民会議とは金銭的な繋がりもある。
  • 平成17年に「新憲法制定議員同盟」に改称。

【名称の変遷】
・自主憲法期成議員同盟 → 新憲法制定議員同盟
・自主憲法制定国民会議 → 新しい憲法をつくる国民会議
・自主憲法制定国民大会 → 新しい憲法をつくる国民大会
(「議員同盟」を民間から支援するのが「国民会議」で、「国民会議」(と「議員同盟」)が開催(共催)する集会が「国民大会」という関係)

清原淳平

  • 父親が若宮貞夫の書生だった縁から堤康次郎の秘書室に入り、このとき岸との面識を持つ。
  • 昭和53年、岸ら国会議員から「共和協会」の実務執行を頼まれる。当初は高齢を理由に固辞するも「私が後ろ盾になる」と岸に促され引き受ける。
  • 昭和54年、「自主憲法期成議員同盟」と「自主憲法制定国民会議」の事務局長を委嘱される。一度は「協和協会」で手一杯だと断るが岸に請われ受諾。
  • 昭和56年、「時代を刷新する会」の設立と同時に事務局長に就任。
  • 「時代を刷新する会」「協和協会」1)「時代を刷新する会」と「協和協会」は岸が創設を加えると4つの団体・組織の実務を任されている。

以上、参考にしたのは、新しい憲法をつくる国民会議ホームページ、清原淳平アーカイブ、清原淳平著『岸信介元総理の志 憲法改正』、自主憲法期成議員同盟・自主憲法制定国民会議編『日本国憲法改正草案―地球時代の日本を考える』、世界日報、世界思想、国会会議録。

宗教団体との関係

生長の家

自主憲法制定国民会議は生長の家の呼びかけで設立され(後述)、第一回の自主憲法制定国民大会には谷口雅春も出席し講演したという2)谷口雅春先生の業績(2)光の進軍

「生長の家政治連合」は既に活動休止。

生長の家が、最も力を入れたのは「日の丸か赤旗か」と、生長の家のなかに「日の丸擁護会」が誕生、「全国日の丸連合会」に発展する。もう一つが「自主憲法制定国民会議」の結成で、その事務局が「生長の家政治連合」本部に置かれた。

『現代の眼』1979.11「生長の家―右翼集票マシーンと化した雑炊宗教」

第13回国民大会のプログラム(元は縦書き)。第13回は国民会議が発行した大会報告号を国会図書館で閲覧可。

第一三回自主憲法制定国民大会プログラム
(五七年五月三日、東京・明治神宮会館)
司会 関口孝
一、 国歌斉唱(一回)
二、 開会の辞 衆議院議員 自主憲法期成議員同盟常任理事 中尾栄一
三、 会長挨拶 自主憲法制定国民会議・自主憲法期成議員同盟会長 岸信介
四、 運動方針 自主憲法制定国民会議副会長 池田清志
五、 推進の言葉
自由民主党代表 衆議院議員 元建設・法務大臣 自由民主党憲法調査会会長 瀬戸山三男
議員同盟代表 参議院議員 元運輸大臣 自主憲法期成議員同盟常任理事 木村睦男
県民会議代表 自主憲法制定愛知県民会議理事長 近藤伝六
学者文化人代表 独協大学名誉教授 幣原道太郎
婦人代表 日本婦人連合会会長 荒川綾
青年代表 日本青年協議会 斎藤貞幸
六、 大会決議 国際勝共連合 大木宏亮
七、 記念講演 「急転する国際情勢の中での日本」 国際政治評論家 斎藤忠
八、 閉会の辞 生長の家 井内辰猪
九、 万歳三唱 明治神宮宮司 高澤信一郎

朝日新聞社会部著『「政治」の風景』(すずさわ書店)

後に、谷口雅春率いる生長の家・日本青年協議会は国民会議を離れることになる(正確な時期は不明)。理由は、谷口が「占領憲法破棄・明治憲法復元」を目標としていたのに対し、国民会議率いる岸信介はあくまで現行憲法を有効とした上での改憲を目指していたことから、両者の方向性にギャップが生じたため。この辺りの話は面白いので別途ページを用意した。

下は質問者が「自主憲法制定国民大会」と「建国記念の日奉祝国民大会」をごっちゃにしているためイマイチ明確でないものの、生長の家の村上正邦が事務局長をやっていたという話が国会でなされている。奉祝行事の方はどちらかというと日本会議に近い運動で、これに勝共連合からの大量動員があったという箇所も気になる。

総務長官ね、黛さんという人は、テレビで「題名のない音楽会」というふうな番組のタクトを振っておられますが、別のタクトを振っている方なんですよ、これは。自主憲法制定国民大会という、いまの憲法ではだめだから別の憲法をつくろうという集まり、団体のタクトをいつも振っているんです。わかっておりますか。それからこの事務局長をやっておられる村上さんという方、この村上正邦さんという方は――玉置さんがいればよくわかる。この人は生長の家の国民運動本部長です。

参議院会議録情報 第084回国会 予算委員会 第3号

統一教会(現・世界平和統一家庭連合)

統一教会(統一協会)の政治団体・国際勝共連合も自主憲法制定国民会議に参加。

同議員同盟と一体となって運動を進め毎年改憲推進大会を共催する自主憲法制定国民会議(六九年結成)は岸氏が初代会長で、参加団体には国際勝共連合(統一協会)などが含まれます。

改憲への体制固め/党内実力者らに役員就任要請/自主憲法期成議員同盟(しんぶん赤旗)

五月三日の集会で配られた資料の中に、自主憲法制定国民会議の参加団体の名前が列挙されております。七十八団体だそうです。この中には国際勝共連合とか全貌社などというような、だれが見ても右翼団体と見られるものがたくさんあります。右翼事典の中に名前を連ねている団体が約三分の一です。

衆議院会議録情報 第075回国会 法務委員会 第19号

清原淳平著『岸信介元総理の志 憲法改正』で復刻した自主憲法制定国民大会報告号から第14回大会のプログラム。推進の言葉を述べた勝共連合の河西徹夫は早稲田大学原理研究会OBで、1970年の合同結婚式に参加した古参幹部。

大会プログラム
司会 関口孝
一、 国歌斉唱(一回)
二、 開会の辞 参議院議員 自主憲法期成議員同盟常任理事 八木一郎
三、 会長挨拶 自主憲法制定国民会議会長 自主憲法期成議員同盟会長 岸信介
四、 運動方針 自主憲法制定国民会議理事長 植竹春彦
五、 推進の言葉
自由民主党代表 衆議院議員 元運輸大臣 自由民主党国民運動本部長 塩川正十郎
議員同盟代表 参議院議員 元運輸大臣 自主憲法期成議員同盟常任理事 木村睦男
学者文化人代表 日本大学名誉教授 憲法学会会長 川西誠
婦人代表 日本婦人連合会会長 荒川綾
青年代表 国際勝共連合運営本部長 河西徹夫
六、 大会決議 国士舘大学生 加藤覚
七、 記念講演 「戦後の総決算は改憲からはじまる」 京都大学教授、政治評論家 勝田吉太郎
八、 閉会の辞 日本郷友連盟会長 廣瀬栄一
九、 万歳三唱 明治神宮宮司 高澤信一郎

清原淳平編著『岸信介元総理の志 憲法改正』(善本社)

国民大会の様子を伝える勝共連合の機関紙・思想新聞には「本連合から会員が多数参加」とある。以前から5月15日号の思想新聞には国民大会に関する記事が載る。尚、この大会は一般紙でも報じられるが勝共連合の参加を書くところはない。

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『思想新聞』2015年5月15日号(PDF)

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『思想新聞』2017年5月15日号(PDF)


勝共連合の姉妹団体・世界平和連合(FWP=Federation for World Pwace)で講演する事務局長の清原淳平。清原は他に世界日報の世日クラブでも講演している。

国民会議の評議員名簿には勝共連合政策局長・青津和代の名が記載されている3)役員・評議員名簿/新しい憲法をつくる国民会議(=自主憲法制定国民会議)。青津といえば、2010年に有田芳生がブログで公開した教団の内部文書にも登場した人物で、思想新聞などにもちょくちょく載る。全国教育問題協議会では役員も務める。

佛所護念会

佛所護念会教団は統一教会や生長の家と同様に保守的な特徴がある。(仏所護念会=佛所護念会)

生政連は、生長の家の教区ごとに組織され、主な政策として、“諸悪の因”現憲法を廃止する、伊勢皇大神宮、靖国神社の国家祭祀の実現、マスコミの偏向報道の是正、警察官に感謝し、社会のルールを守る運動を推進する、等を掲げていた。
やがて、一九六九年には、仏所護念会や国際勝共連合などに呼びかけ、改憲を目指す運動体として、「自主憲法制定国民会議」(会長岸信介)を結成することに成功した。

日隈威徳著『宗教と共産主義』(新日本新書)

「自由新報」は自民党の機関紙「自由民主」の旧称。

これは自由新報の記事でありますが、「第五回自主憲法制定国民大会は、五月三日、東京・日本武道館に一万七千人を集めて盛大に行なわれた。国際勝共連合、生長の家、仏所護念会、日本人の和を願う国民運動、国士舘大学など参加団体八十七で広い武道館もいっぱい。」こういう記事が出ているわけでございます。

衆議院会議録情報 第071回国会 文教委員会 第22号

自主憲法制定国民会議の機関紙『憲法』から第15回国民大会のプログラム。

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清原淳平アーカイブより

日本科学者会議宮崎支部ホームページに置かれた資料より。国民会議が発行した冊子を元につくられたと思われるが詳細は不明。一応、問い合わせてみたところ今となっては確認できないとのこと。ただし、生長の家、統一教会(勝共連合)、佛所護念会の三教団が含まれているなど上で書いてきた事と一致する点が多い。

自主憲法制定国民会議主な参加団体

アジア国会議員連合・改憲発議国民委員会・国を思う会・軍恩連盟全国連合会・憲法調査建議会・憲法の会・国際勝共連合・国士舘大学・国政記者会・国民文化研究会・松陰会・自主憲法期成議員同盟・自由アジア協会・新教育者連盟・神社本庁・新日本協議会・政治刷新国民運動・生長の家政治連合・全国師友協会・全日本空手道連盟・全日本宗教政治連盟・総合文化協会・大道会・東亜連盟同志会・日本遺族会・日本栄養士会・日本学生同盟・日本教育推進連盟・日本健青会・日本弘道会・日本国体学会・日本国防協会・日本郷友連盟・日本傷痍軍人会・日本時政会・日本人の和を願う国民運動・日本青年協議会・ひのもと同志会・仏所護念会・奉公協会・北方協会・靖国会・養正会

N004.pdf

「国立女性教育会館デジタルアーカイブ」で公開された第17、18回の自主憲法制定国民大会の写真。クリックで拡大。

 

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脚注   [ + ]